グローバルコンテストで出会った海外スタートアップと協業
2017年、初の世界10都市で開催した「第5回豊洲の港からpresentsグローバルオープンイノベーションコンテスト」。最優秀賞に選ばれたSocial Coin(ソーシャルコイン)とNTTデータは、協業に向け2018年2月には共同で「地域課題発見ラボ」を設立。市民が抱えている地域の潜在的な課題に対する意識や感情を広く分析し、地域課題の発掘や解決を図るプラットフォームを共同開発しています。独自のAIを使った地域課題発見ソリューションは、国内での地方創生、消費者被害問題から、東アフリカ地域の金融課題まで、国内外に提供され、役立てられています。
言語の制限がなく、
全世界での提供が可能
Social Coinはスペイン・バルセロナに本社を置くスタートアップ企業。AIによる独自のクラスタリング技術を活用し、市民の意識・感情から地域課題を把握するソーシャル理解ツール「Citibeats」を提供しています。NTTデータと同社は第5回コンテストの優勝を機に協業検討を開始し、NTTデータが保有する全世界のTwitterデータおよび日本語言語解析技術「なずき」と掛け合わせ、企業や官公庁、自治体等向けに地域課題発見ソリューションを開発・提供しています。
AIエンジンは、抽出キーワードを自由に設定できるため、地域交通、観光、教育、文化、住環境から特定の商品名まで、テキストデータであれば言語によらず分析可能。また、仕組みは言語によらないため、英語、スペイン語、日本語などで世界中で利用可能です。そこで、東アフリカ地域のファイナンシャル・インクルージョンのために、お金や金融サービスに対して現地の人々がどのようなニーズや意識を持っているか分析し、金融サービスを広げるための後押しを行っています。また、日本国内でも、「BeSTA Fintech Lab」における東北地方の課題発見に向けたトライアル利用を経て、消費者リスクの早期発見やインバウンドに向けた課題抽出などを目的に、いくつかの官公庁での活用が開始されています。
市民の直接参画により、
SDGs課題の解決を目指す
共同で立ち上げた「地域課題発見ラボ」では地域間の状況を多角的に比較し、その都市の課題をよりより浮き彫りにする試みを行っています。中でも「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」に関連付けした分類・分析に力を入れています。例えば、ニューヨーク、ロンドン、バルセロナ、ドバイ、シンガポール等、世界の各都市に住む人々がSDGsの17ゴールに関してどのくらい話題にしているか、どのような意見や感情を持っているかを比較、必要なソリューションを開発するための情報提供を行っています。
また、NTTデータと一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)がスタートした「SDGsグローバルスタートアッププログラム」の中でも市民の本音や課題理解を助けるツールとして活用されています。今後は、2020年度を目処に、ブロックチェーンを活用し、市民に対して地域課題解決するための行動を促すスマホアプリを共同開発し、直接参画・解決を実現にする市民参画プラットフォームへの発展を目指しています。